室堂~立山三山~五色ヶ原~薬師岳 (北ア)(B2) 2025年7月10日(木)~13日(日)

投稿者: | 9月 8, 2025

(7/10)富山駅で生憎の曇天のもとメンバーと集合し、鉄道・ケーブルカー・バスを乗り継ぎ立山室堂へ到着。昼食はホテル立山で豪華な食事を堪能。窓の外ではガスが次第に晴れ、立山の山並みが姿を現してきた。宿泊する室堂山荘に移動後、荷物をデポし、軽装にて室堂周遊し散策する。山荘の窓から見える残雪の多さに不安を抱きつつも、まずはミクリガ池へ向かう。今年の池の雪解けは遅く、まだ7割ほどが残る中、ミクリガ池山荘名物ブルーベリーソフトを皆で味わう。次に雷鳥沢へ向かうも、ここまでで雷鳥の姿は未だ見えず。称名川に架かる橋でランドネ風写真を撮りつつ気分を高め、静かな残雪の道を進むと、突然“くぅ~”という鳴き声とともに、ヒナを連れたメス雷鳥に遭遇。警戒する母鳥の姿と懸命に歩くヒナたちの様子に心打たれ、そっと撮影。いつの間にか天候も好天しており、雄山山頂が望めるほど視界も良好に。初日からの雷鳥との出会いに感激しつつ山荘へ戻るが、最後に待ち構えていたのは斜度ある残雪の登り。慎重に足場を探しつつ進み、無事夏道へ。山荘では爽快な風呂と山中とは思えぬ豪華な夕食を堪能し、夕焼けに染まる大日岳を眺めながら、明日以降の無事を祈りつつ、下界から歩荷してきて雪渓で予め冷やしておいたちょっと良いスパークリングワインで乾杯。最高の気分で初日を終えた。
(記 E)
(7/11)立山室堂山荘を計画より早めの4時40分出発。薄曇りのなか一ノ越山荘を望めるが雄山山頂は濃い雲に隠れていた。一ノ越山荘までは5か所ほどの雪渓をツボ足で通過し、1時間程で到着。立山室堂山荘より持参の弁当で朝食を取り、アタックザックにて立山三山を目指す。この頃から上空の雲が晴れ雄山山頂越しにご来光を仰ぐ。50分程急登を歩き雄山山頂到着。雲一つない快晴で室堂方面、白馬三山などの後立山連峰、そして五色ヶ原から薬師岳をも一望出来た。雄山神社峰本社にて参拝後、大汝山、富士ノ折立と立山三山を制覇する。同じルートでデポした一ノ越山荘に戻る。快晴の中ではあるが、うだるような暑さのなか五色ヶ原に向け出発。ザックの重さを感じながら、富山大学立山研究所まで標高差約140mの登り、その後は、龍王岳と鬼岳を巻いて、右手に黒部湖を遠く望み、途中チングルマの群生地に雄の雷鳥が現れたりした。私たちの山行は天候にも運にも味方されているのだと実感する。本日最大の難関である、200mにもわたる雪渓のトラバースがあり、私は軽アイゼンとストックを装備するも、五色ヶ原山荘スタッフによる切り込み作業のおかげもあり難なく通過することができた。ハクサンチドリなどの花々を愛でながら獅子岳に至る。獅子岳からは五色ヶ原や薬師岳などの眺望も最高であった。ここからザレ峠まで標高差370mを一気に下る。高低差もさることながら険しく、鎖場や梯子もあり、ザレていて転びやすい九十九折りの下りであり、終始気が抜けなかった。ザラ峠到着後、五色ヶ原に向けての最後の登りのため小休止。なだらかな登りを終えると、五色ヶ原の木道に至る、左手前方にテント場が見えてから、五色ヶ原山荘までは、木道やら階段道やら20分ほどで本日の宿泊地である五色ヶ原山荘に到着した。五色ヶ原山荘では、山中では大変貴重で有難いお風呂で汗と疲れを落とし、歩荷してきた赤ワインでの乾杯で一日を終えた。
(記 F)
(7/12)3時40分出発。今日は締めて6つのピークを登る歩程10時間のハードコースだ。周りは闇と雲に包まれており、重い足取りで歩きだす。早速雪渓があり、鳶山への登りとなる。次第にあたりは明るくなるが、依然として雲の中。目の前の花にわずかに慰められながらの鳶山からの下りは登り以上に急で精神と体力を使う。2つ目のピーク越中沢岳への登りは長い。途中雷鳥に出会う。母鳥が慌てて巣を離れ逃げていく。置いて行かれたひなは生まれたばかりのようで歩くのもままならない。慌てて飛ぼうとするが失敗。地面を滑り落ちる。かわいい。突然雲が切れ、辺り一面青空となる。昨日登った立山三山、遠くに剣、奥大日も見える。壮大だ。越中沢岳からの下りは、激下り激登り。大きな岩、ザレ場の連続。あたりは森林帯となり、遠景も花も期待できないひたすら修行の道だった。やっとのことでスゴ乗越に着く。ここからやっと後半戦。登り。雪渓が何度かあり、メンバーが滑るが事なきを得、何とか間山に到着。森林限界を再び越え、北薬師への登りとなる。見回すと蓮華をはじめ、槍穂、水晶などの北アルプスの面々が連なり、足元はチングルマ、ハクサンイチゲはじめ数々の花が咲き乱れている。北薬師岳を過ぎると足元は岩稜帯となり、滑落の危険もあり、最後まで気が抜けない。薬師岳山頂では、北アルプスの名だたる山を一望し、遠くは御嶽まで臨み、長く苦しかった縦走に対する十分なご褒美となった。宿泊地の薬師岳山荘では、リーダーがここまで担いで来てくれたワインで乾杯し、無事皆で到着したことを喜びあった。
(記 H)
(7/13)連日朝食前の出発であったが、今日は朝食を摂ってから出発なので随分朝寝をしたような気分だ。小屋前で御嶽山、黒部五郎岳、鷲羽岳~赤牛岳、槍・穂高連峰に空木岳までぐるりと眺めていると薬師岳から朝日が昇った。“下山したくないー”とぼやきながら行動開始。岩でゴロゴロの道を下ると雪渓が残るがしっかり踏まれており不安がない。登山道が雪解け水で沢のようになっているところもあり慎重に下る。こちらの斜面ではチングルマはほぼ綿毛になっていた。薬師峠の太郎平キャンプ場では薬師岳山荘では雨水利用のためできなかった水を汲み、50mほど登り返すと太郎兵衛平となり、開けた笹原にニッコウキスゲやコバイケイソウが咲き、池塘が輝く。山々を眺めながら木道を下って太郎平小屋へ到着、ここでも水を補給。山々との別れを惜しみながらゆっくり下山する。五光岩あたりの道は新しく整備され前日までの苦労が嘘のように歩き易かったが、樹林帯へ入ると眺望もなく、猛暑の中ひたすら下り続けた。折立に着くと自販機の冷たい飲料で咽喉を潤し、昼食をとりながらバスを待つ。好天と高山植物花盛りに恵まれ、岩稜帯、雪渓、ザレ場ガレ場と変化に富んだ大充実の山行となった。
(記 H)

 
<今後の同山域への計画に対してのアドバイス等>
今回の山行は4日にわたることもあり、初日に体を慣らすためにも室堂を周遊する時間を取った。初日に体を高地に慣らしておくことは、その後数日、且つ長時間歩程の山行の際には有用と考える。また、その際、室堂~ミクリガ池~雷鳥平をピストンする選択もあるが、雷鳥沢~室堂は涼やかな清流である称名川源頭沿いをひっそりと歩くことができ、またそのことから雷鳥に会える可能性も高く、残雪が少なければお薦めのルートである。
(記 E)
<コースタイム>
(7/10)富山駅(/9:20)=室堂(11:50/12:38)-立山室堂山荘(12:51/13:27)-ミクリガ池(13:46/13:59)-雷鳥沢(14:34/14:41)-立山室堂山荘(16:13/泊)
(7/11)立山室堂山荘(/4:10)-一ノ越(5:53/6:00)-雄山(6:50/7:20)-大汝山(7:33/7:39)-富士ノ折立(8:01/8:20)-雄山(8:40/9:00)-一ノ越(9:25/9:50)-富山大学立山研究所(10:20/10:30)-龍王岳(10:36/10:41)-鬼岳(11:10/11:14)-獅子岳(12:57/13:14)-ザラ峠(14:12/14:27)-五色ヶ原山荘(15:04/泊)
(7/12)五色ヶ原山荘(/3:40)-鳶山急登手前(4:18/4:22)-鳶山(4:40/4:50)-越中沢乗越(5:05/5:20)-越中沢岳(6:12/6:22)-スゴノ頭手前(7:20/7:30)-スゴ乗越(8:20/8:40)-スゴ乗越小屋(9:35/9:55)-間山手前(11:02/11:15)-間山(11:30/11:40)-2,800m付近(12:30/12:50)-北薬師岳(13:47/14:00)-薬師岳(15:05/15:15)-薬師岳山荘(16:05/泊)
(7/13)薬師岳山荘(/6:00)-薬師平(6:37)-太郎平小屋(7:37/7:50)-五光岩(8:30/8:40)-青淵三角点ベンチ(9:43/9:52)-折立(11:02/12:10)=富山駅(14:05/)
<参加者>4名