(3/8)開拓登山口に車を停めて、準備を開始。日本海に近い山なので、湿った雪が積もっており、スタートからワカンを履き登山開始。まずは鳳来山を目指す。夏道であれば、鳳来山の上の横堂までコースタイム60分であるが、新雪20センチでトレースがなく、避難小屋装備でのラッセルはきつい。時々、地図アプリで進む方向を確認しながら、交代でラッセルしながら進む。鳳来山は夏道では頂上には行かずに巻いているが、今回は頂上を目指して進む。山頂近くは急坂で、目の前の深い新雪をピッケルで崩して膝と足で固めながら進む。鳳来山から先の急坂ではロープを出して貰い進む。限界杉を越えると展望も開け、左に日本海が輝いている。氷が付いてキラキラするブナ林を過ぎ、西物見からは、白く輝く月山が姿を現してくれた。宿泊先の滝ノ小屋まで、ひたすらラッセルが続き、滝ノ小屋に着いた時には、心底ホッとした。
(記 M)
(3/9)Aコース:Bコースチーム出発直後に我々も出発の支度に取り掛かる。一番早いパーティーは深夜2時半頃に出て行った。その後各パーティーが順次出ていき、小屋内は我々二人とボサ森から戻ってきたという若者一人、先程迄の喧騒が噓のように静まり返っていた。アイゼンを装着するのに小屋のドアを開けたら、白い雪と青い空だけの世界に放り込まれた様だった。月山森には行く人がいないのでトレースも無いだろうと、夏道から八丁坂を目指した。が、いつの間にか八丁坂から距離にして100m位下の雪道を延々とトラバースしていたことに気づいた。軌道修正で直登に切り替え50m位上がった辺りから雪が凍っていてストックが刺さらなくなったため、小屋迄引返し小屋周辺を楽しむことにした。小屋からはピストンで戻るため、前日の自分たちの鬼ラッセルでついたトレースが功を奏したのか快調に進んだ。登りに難儀した鳳来山手前の急斜面も木につかまりながら下り、樹林帯に入ってからは踏み抜かないよう登山口へ帰着した。月山森迄行けなかった事は残念だったが、学ぶことの多い二日間だった。誰もいない風の音さえ聞こえないどこ迄も広がる真っ白な雪の中に自分達だけのちっぽけな足跡だけが続く…言葉に出来ない光景だった。
(記 K)
Bコース:鳥海山は雪深く、登山口からはワカン・ストック、山頂へは三点セット(ビーコン・プローブ・ショベル)・ヘルメット・アイゼンが必須。早朝、ヘッドライトで小屋を出発。少し雪が舞う暗闇の中、雪山はルートがよくわからない。よく慣れたリーダーから沢沿いの雪崩の跡を避けようとのことで、少し回り込んだ道を進む。どこまでも雪原でアイゼンが10〜20cm沈み、体力を消耗。3時間登ると、行者ヶ岳辺りからハイマツの上を覆う雪面が凍る地帯が現われ、滑りやすく気をつけて登る。振り返ると眼下には雲海が広がり、青天の白銀の世界。外輪分岐から山頂に至る急坂を降りる際には、ピッケルを用意する。山頂・外輪は晴れ渡り、ゴツゴツした岩も雪で覆われスノーモンスターに。鳥海山神社は雪に埋もれ雪斜面が広がる世界。スキーヤーにも何組か出会う。山頂までは小屋から4時間と少し。山頂は岩を覆う雪の塊で360度、遠く月山には雲がかかるが秋田駒、日本海を見渡せた。絶景を堪能した後、記念写真を撮り下山。山頂から滝ノ小屋まで2時間、そこから登山口まではワカンで3時間。西物見辺りは風が強く、限界杉の辺りも樹木の枝が凍り、雪は深い。昨日の登りでトレースができており、避難小屋装備のきついラッセルでの登りが嘘のように、下山は楽であった。
(記 I)
<今後の同山域への計画に対してのアドバイス等>
厳冬期を過ぎた3月であっても、その年によっては厳冬期並みの積雪量となることがある。また開拓登山口は利用者が少ないため、ラッセルを強いられる可能性が高く、行動時間に余裕を持った計画が望ましい。滝ノ小屋から月山森も利用者が少なく同様である。
鳳来山を超えたP850辺りからP955までの急斜面と、滝ノ小屋から月山森間はピッケルがあった方が楽だったと思う。
滝ノ小屋から鳥海山までは直近の積雪量で難易度が変わります。外輪からの下りは直近の積雪量で、夏道ルートで下りるか虫穴コースで下りるか現場判断が必要となります。
(記 O)
<コースタイム>
(3/8)開拓登山口(/9:20)-鳳来山(11:00)―横堂(11:25)-限界杉(13:35)-滝ノ小屋(16:25/17:25)-P1200(18:00/18:05)-滝ノ小屋(18:35/泊)
(3/9)Aコース:滝ノ小屋(/6:10)-P1,400m(7:00)-滝ノ小屋(8:30/ 9:35)-西物見(9:55)-限界杉(10:30)-鳳来山(11:15/11:25)-開拓登山口(12:35/)
Bコース:滝ノ小屋(/4:40)-行者岳(7:55/7:56)-新山外輪分岐(8:20/8:35)-新山(9:00/9:10)-行者岳(9:50)-滝ノ小屋(11:25/12:20)-開拓登山口(14:50/)
<参加者>7名